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異質文化で暮らす経験

 今度の代表チームは、前回のメキシコと同じようにロバノフスキーが監督で、キエフ勢が主力となることも変わりはないようだ。しかし、ペレストロイカの影響で、外国でのプレーが認められ、代表チームの数人はユベントス(イタリア)トゥールーズ(フランス)ボルシアMG(西ドイツ)セビリア(スペイン)などでプレーしている。ソ連とは明らかに異質の社会で暮らし、違ったクラブの試合経験を積んだプレーヤーがいることは、決してマイナスではない。

 そしてまた、ペレストロイカによって、ソ連の社会全体に“自由”の気が満ち始めているのなら、サッカーのプレーにとって、これもまた大きなプラスになるハズだ。
 サッカーという協議は、最終的には競技者の意志と判断で進められる。ボールを持った者が“王”であり、その判断によってプレーが続く、誰かの命令でパスを出すのではなく、プレーヤー自身の意志と判断でパスをし、シュートをする競技だと思う。
 そういう意味から、今度のソ連には、これまでと違うものが見られるだろうか――サッカー・ウォッチャーにとって“新しいソ連”に胸を膨らませている。


(サッカーダイジェスト 1990年7月号「蹴球その国・人・歩」)

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