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スペイン代表 ワールドカップでの不運

 第40回大会で、当時の高校生としてはずば抜けて大きい釜本邦茂の破壊力に目を見張ってから40余年、今年の第82回高校選手権で、いまの水準を超える大型ストライカー平山相太の見事なゴールシーンの数々を見ることができました。
 これから何年か、彼のプレーを眺めつつ、その一つひとつを語り合えることの幸を思います。まずは小嶺先生、ご両親にお礼を――。
 さて2002年ワールドカップ、韓国対スペインの準々決勝、ホアキンの悲劇の終楽章です。
「エエッ、あれがゴールラインを割っていたの」
 テレビの前で多くの人が思い、英語のアナウンサーが「副審のテリブル・ディシジョン(ひどい判断)」と言った延長前半1分30秒のホアキンの右サイドからのチャンスメークの取り消しのあとも両チームの攻防はまことに激しく、延長後半に入ると韓国の動きが優った。 ホアキンは後半9分に足を痛めたらしく、彼の快走なしではチームの攻めは鈍った。2時間の戦いは0−0。


ホアキンのPK失敗

 PK戦が始まる。
 まず韓国から、黄善洪が決める。シュートはカシジャスのリーチの内だったが低くて強く、脇下をくぐり抜けた。
 スペインの一人目は主将のイエロが右足で左へ決めて1−1。
 二人目の朴智星、バラハも成功。3人目の薛g鉉、シャビ決める。4人目、韓国は安貞桓。イタリア戦の前半早々のPKを失敗した彼だが、今度はゴールを奪う。
 スペインはホアキン。右足で右へ蹴ったシュートは、GK李雲在に止められる。そして洪明甫が、右足で右上へ蹴りこんで5点目。スペインの敗退が決まった。
 足を痛めたホアキンに確固たる自信があったのかどうか。サイドネットを狙うという原則から外れていた。
 そのコースを読んだ李雲在は殊勲者だが、ゴールライン上に立つはずのGKが、キックより早く前へ飛び出した反則を、ガンドゥール主審は見逃していた。厳格にとればPKのやり直しなのだが、そうではなかった。この日のホアキンはゴールラインにからむプレーで悲運だったとしかいいようがない。
 1934年にスペイン代表が初めてワールドカップに出場したとき、開催国イタリア(優勝」と1−1のあと、再試合で敗れたが、欧州随一といわれたGKサモラを含む7人を負傷で欠いての敗戦だった。
 ワールドカップでのスペインの不運の歴史は、極東でも繰り返された。


(週刊サッカーマガジン2004年2月3日号)

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