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初期のサッカー。1913年にスタンド付き競技場

 こんな、さまざまな顔を持つスペインに、サッカーが導入されたのは、ヨーロッパの各国と同じように、19世紀の末にイギリス人によって……。それでも西ドイツやフランスには1870年、つまり、1863年、FA(イングランド・サッカー協会)が創立し、現代サッカーの基本的なルール(協会ルール)が決まってから、10年もたたぬうちに伝わっていったのとは違い、1880年代にバスク地方へとあるから、少し遅れて入ってきたことになる。
 バスクはすでに紹介した地方意識の強い地域だが、早くから工業、鉱業が盛んで、それらの技術を持った英国人が持ちこんだらしい。アスレティック・クラブ・デ・ビルバオは、この英国人伝来という歴史のまま、英語のアスレティックを使い、スペイン語のアトレティコといわないところが、また面白い。
 生産力のあるビルバオ市だったから、いまから75年も前の1913年にクラブは専用競技場を建設した。それも、屋根の上にアーチをつけた特異な形で、カテドラル(大聖堂)のニックネームがつけられた。


(サッカーダイジェスト 1989年4月号「蹴球その国・人・歩」)

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