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1989年のレアルとバルサ

 もし、2年ばかり海外で暮らすチャンスがあれば、いちばん行きたいところはスペイン―――。
 4月号のこの連載(上)で、わたしは、こう申し上げた。1982年のW杯でスペインを訪れたとき、24チームがはじめて集結したワールドカップの本大会は、それまでの16ヶ国参加とは違い、試合数も多く、毎日、観戦のために飛び歩いて、ロクに景色を見るヒマもなかったけれど、北へ南へ、東へと飛行機での1時間あるいは1時間半のフライトのたびに、景観が大きく変わることに驚き、あらためて訪れたい国として、強く印象に残ったのだった。

 ことしは、その景観の多様さに、さらにサッカーの充実が、いっそう、わたしたちを魅きつけるのではないか―――。スペインからのニュースを見ていると、そんな感じもする近ごろだ。

 スペイン・リーグは、1部リーグが20チーム、2部のA・Bがそれぞれ20チームずつ(合計40チーム)に分かれ、さらに、その下に3部(20チーム、13グループ、合計260チーム)がある。毎年、8月末または9月初めから5月にかけてがシーズン。日本の天皇杯にあたるカップ戦(COPA del REY)は、9月から6月まで、リーグ・チャンピオン(1部)とカップ優勝チームとの対戦、スーパーカップが7月の初めにあって、シーズンの終末を飾るのが普通(W杯やヨーロッパ選手権などの関係で、日程を早めることもある)。

 その1部リーグでは、1928−29年以来レアル・マドリーが23回優勝、バルセロナが10回、アトレチコ・マドリーが8回、アスレティック・ビルバオが8回、バレンシアが4回、レアル・ソシエダが2回、ベティスとセビリアが各1回ずつチャンピオンになっている。

 一方、カップ戦でも、1902年から88年までの間の優勝回数の上位5チームは、アスレティック・ビルバオ23回、バルセロナ21回、レアル・マドリー15回、アトレチコ・マドリー6回、バレンシア5回となっている。
 アスレティック・ビルバオは、前回に述べたとおり、サッカーがスペインに導入された最初の町のチームで初期の優勝が多く、このチームをしばらくおくと、バルセロナとレアルがカップ戦でも優勝回数を争っている。

 ことしのリーグ開幕前も、4年連続優勝をめざすレアルに対して、バルセロナがタイトルを奪回するかどうかが話題だった。4月2日までの形勢では、レアルが26試合18勝8分0敗、バルセロナが27試合17勝7分3敗と勝点で3差がついている。バルサ(バルセロナの略称)としては、これからは星を落とさず、レアルの息切れを待ちたいところだろう。
 ともかく、3位のバレンシアが27試合11勝10分6敗だから、2強の争いに他のチームが割り込むことはまずなさそう。それだけに、両チームのイレブンにも監督にも気の抜けない終盤戦になる。


(サッカーダイジェスト 1989年6月号「蹴球その国・人・歩」)

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