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英国でなくスコットランド

 ジンジャー・ツリーのヒロインの呟きは、今日でも、いろいろなところでお目にかかる。74年のワールドカップでも、スコットランドとブラジルが対戦したフランクフルトのバルト・スタジアムで、試合前のセレモニーに英国国旗ユニオン・ジャックが掲揚され、ゴッド・セーブ・ザ・クィーンの英国国歌が吹奏されると、スコットランドのファンの間からいっせいに非難の口笛が鳴った。彼らの応援するのは“英国”のチームでなく“スコットランド”のチームだというわけだ。
 そんなスコットランド人にとって、自分たちの誇るべきサッカーの代表チームが、ワールドカップで、まだ一度も上位に入っていないのは、大きな不満に違いない。74年の西ドイツから78年アルゼンチン、82年スペイン、86年メキシコと4回連続して予選を突破し、本舞台へ乗り込んでいるのに、ベスト8に一度も入っていないのだから……。今回の代表に期待がかかるのも無理はない。


(サッカーダイジェスト 1990年5月号「蹴球その国・人・歩」)

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