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74年のブレムナーとジョーダン

 私が初めてスコットランド代表チームを見たのは、74年の西ドイツ大会だった。小柄ながら、タフで巧妙な攻めを組み立てる赤毛のブレムナー、弾丸シュートのロリマー、長身でヘディングに定評のあるジョーダン、それにダルグリッシュもいた。彼らはザイールに勝ち、ユーゴとブラジルに引き分け、1勝2分けで4勝点を挙げながら、ユーゴもブラジルも同じ4勝点となり、ザイールから9得点したユーゴ、3得点を挙げたブラジルにわずか及ばず、1次リーグで敗退してしまった。
 当時のヨーロッパの一般的な傾向でもあった、守備に力を入れたゲームに慣れ、ザイールのようなタイプの違う、そして、格下といえる相手から、大量点をもぎ取るという意欲と技術(戦術)に欠けていたのが惜しい。

 このチームの練習を、フランクフルト郊外の村の練習場へ見に行ったとき、ユニホームを脱いだ彼らの、筋肉の素晴らしさに圧倒されたものだ。そしてまた、ブレムナーが思っていたよりさらに小柄で、ボール扱いの上手なのに感心したことを覚えている。
 錚錚たるメンバーをそろえながら、早々と退いた彼らが、次の78年アルゼンチン大会でもファンの期待を背負う。

 アルゼンチン大会は、すでにリバプールで名を知られたダルグリッシュ、マンチェスター・シティのハートフォード、74年からのジョーダン、スピードもあるジョンストンをはじめ、イングランドとスコットランドのリーグのスターたちが並んでいた。
 それが第1戦の対ペルーを1−3で落とし、第2戦のイランにも1−1で引き分けてしまった。ウイングのジョンストンがドーピング・テストに引っかかり出場停止となったのも響いたが、その持ち駒から見て、あまりにも意外な結果となった。第3戦で、すでに2次リーグ進出が決まって調子を落としたオランダから3点を奪ったのがせめての救いだった。


(サッカーダイジェスト 1990年5月号「蹴球その国・人・歩」)

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