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開始1時間前に交通機関が休止

 昨年のイタリア・ワールドカップで、アイルランド代表チームは1次リーグをオランダ、イングランド、エジプトと戦い、3試合とも引き分け(得点2、失点2)。オランダとともにイングランドに次いで2位となり、決勝ラウンドに進出した。
 ノックアウト・システムに入っての、決勝ラウンド1回戦の相手はルーマニア。0−0のあと、PK戦を5−4で勝って準々決勝へ進んだ。

 この6月25日、ジェノバでの試合当日、アイルランドでは欧州サミットが開催されていたが、「その要人警護にあたっていたポリスやガードマンは、勝利が決まると会場のダブリン城の廊下で抱き合い踊った」(アイリッシュ・タイムズ紙)と伝えている。サミットのホスト役のチャールズ・ホーヒー首相は、記者会見を中断してPK戦の場面をテレビで観戦。勝利が決まると、かたわらにいたアイルランド人記者を抱きしめたともいう。

 また、急きょローマへ準々決勝の応援に出かけるアイルランド・サポーターの入場券手配のために、ファヒー・スポーツ相はイタリアに飛び、大会組織委員会とイタリア政府へ掛け合って1万5千枚を確保。ホーヒー首相は、もちろんローマで観戦したが、全国民がテレビで実況を観ることができるようにと、公共のバス、鉄道はキックオフ1時間前に運転休止という措置をとった。
 ゲームは0−1で敗れはしたが、アイルランドは、この大会中数々のヒーローの活躍に沸き、首相はイレブンを「アイルランドを世界に認めさせた」と褒め称えた。


(サッカーダイジェスト 1991年3月号「蹴球その国・人・歩」)

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