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オリンピックは9倍の競争率

 124ヶ国が参加したバルセロナ・オリンピックの地域予選も終盤に入っているが、最終締め切りの3月31日を前に、アジアでは1月18日から31日まで、マレーシアのクアラルンプールで開催された第2ラウンドで3代表が決定した。
 東は太平洋の日本から、西は地中海に面したレバノンまで、広大なアジア大陸のFIFA加盟国は37。そのうち29ヶ国が参加したから9倍を越える競争率。それを突破してバルセロナへ進むのは東アジアの韓国と、西アジアのカタール、クウェートの3ヶ国だった。
 韓国は前回のソウル・オリンピック開催国であり、またアジアではトップと、自他共に認める強国。クウェートは昨年の湾岸戦争の当事国だが、オリンピックには80年(モスクワ)に次いで、2回目。カタールも84年(ロサンジェルス)に次いで2度目の檜舞台となる。

 カタールは、まずアジア1次予選の西・中部地区Aグループで、イラン、UAE、イエメン、パキスタンと対戦。ホームの初戦でイランに勝ち(2−0)、次いでイエメンとのアウェーをドロー(1−1)、パキスタンとのアウェーにも快勝(4−0)し、UAEもホームで撃破して、1回戦を乗り切った。
 イランとのアウェーは敗れたが(0−2)、ホームでイエメン(3−0)、パキスタン(2−0)を連破し、7戦して5勝1敗1分け。最後のUAEとのアウェー(2−0)にも勝って6勝目を挙げ勝点13、2位イラン(勝点12)を抑えてこのグループの首位となった。(得点は19、失点は4)

 一方クウェートは、Bグループでシリア、オマーン、レバノン、インドと組み、インドのハイデラバードに集まって1回戦総当たりのリーグ戦を行なった。
 オマーンに1−0、シリアと1−1、レバノンに2−1、インドに2−1と3勝1分け。2位シリア(2勝2分け)に1ポイント差をつけて優勝した(得点6、失点3)。
 西・中部アジアのもう一つの代表はバーレーン。このグループではサウジアラビアが有力視されていたが、ヨルダンに敗れたのが響き、得失点差で2位となった。

 マレーシアでの第2ラウンドはカタールが第1戦で隣国バーレーンを破り(1−0)、クウェートは韓国と引き分けた(1−1)。カタールは第2戦でも中国を倒し(1−0)、第3戦では韓国にも勝って(1−0)、勝点を6とした。
 クウェートは第2戦を日本と引き分け(1−1)、第3戦では中国に敗れ(0−1)、2分け1敗となった。
 各チームとも3試合を終わったところで中国は2勝1敗、韓国は1勝1敗1分け、日本も1勝1敗1分け。バーレーンだけが3敗だったが、クウェートは第4戦のカタールを3−0で撃破すると、最終戦のバーレーンも3−0で連破して勝点6。カタールは最終戦で日本を退けて(1−0)、勝点8で優勝。韓国が日本(1−0)、中国(3−1)を連破して勝点7で2位。そしてクウェートが中国に得失点差で勝って3位となり、代表の座に滑り込んだ。


(サッカーダイジェスト 1992年4月号「蹴球その国・人・歩」)

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