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90年イタリアW杯 チェコスロバキアの新しい驚き

 199年のイタリア・ワールドカップでの私の収穫の一つは、久しぶりにチェコスロバキアの代表チームを見たこと。彼らのサッカーが、かつてのスタイルを残しつつ進歩し、変化し、より魅力的になっていたことだった。スクラビーという長身の好ストライカーがいて、彼のヘディングが大きな武器となっていたから“チェコ=空中戦”の印象が強かったが、チーム全体のバランスがよく、一人ひとりのテクニックが高くて好感のもてるチームだった。

 彼らは1次リーグをA組に入り、イタリア、オーストリア、米国と戦って2勝1敗。イタリアに次いで2位で決勝トーナメントに進出した。16チームによる決勝トーナメント1回戦は4−1とコスタリカを撃破、次の準々決勝で西ドイツと対戦した。1次リーグから好調を続けてきた西ドイツの猛攻に耐えながら、クリンスマンへのファウルでPKを取られ、マテウスに決められたのが勝敗を分けた。

 これで1988年10月19日、欧州第7組予選(対ルクセンブルクのアウェー)で始まったチェコスロバキア代表チームの、2年にも及ぶ90年W杯の長い戦いは終わった。彼らは予選の8試合を5勝2分け1敗、13得点、3失点の成績で、5ヶ国中、ベルギーに次いで2位となって本大会出場の24チームの中に入ったのだった。

 W杯の歴史では、チェコスロバキアは1934年のイタリア大会で準優勝、28年後の62年チリ大会でも準優勝に輝いている。90年は再びめぐってきた“28年ぶり”のチャンスといえたが、チャンピオン西ドイツと早々と当たったのが不運だったかもしれない。


(サッカーダイジェスト 1991年4月号「蹴球その国・人・歩」)

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