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W杯がやって来る(2)〜発祥地・神戸で開催に意義〜 By産経新聞

「W杯は、有福な国から、そうでない国も含めて出場することができる。サッカーは世界でも数少ない世界標準のスポーツなんです」

神戸一中(現・県立神戸高)、神戸大でMF、FWとして活躍。天皇杯に出場した経験を持つ。昭和27年、産経新聞に入社し、スポーツ記者に。サンケイスポーツの記者時代から現在のフリーの活動も含め、計7回、W杯の開催国に足を運び、53年(1978年)のアルゼンチン大会の得点王、同国のケンペスなど数多くの名選手を取材した。選手として、ジャーナリストとして、サッカーとともに歩みつづけてきた人生。それだけに、W杯への思いは人一倍熱い。

「取材したすべてのW杯が、みな印象深い」というが、最近では、平成6年(1994年)のアメリカ大会で見たイタリア―アイルランド戦が印象深かった。両国の移民が多いアメリカは、それぞれの応援が熱狂的だった。「W杯では、試合は当然興味深いものが多いが、観客をみるのもおもしろい」と、別の角度からの楽しみ方も勧める。

記者として、国内外のサッカーの動向を取材する一方、国内初の市民クラブ「神戸フットボールクラブ(KFC)」の設立や、少年サッカーの育成にも尽力。現在のサッカーで主流の年齢別の選手登録制度も、国内で先駆けて提唱した。

「高校生や大学生、社会人といったように、学校や社会的な立場で区分してプレーするのはおかしい。日本の“非常識”が世界のサッカーの常識であることは多い」

今回の日韓共同開催のW杯では、神戸でも三試合が開催される。神戸とサッカーの歴史は因縁が深い。明治時代、神戸在住の外国人で結成されたスポーツクラブのKR&AC(神戸レガッタ&アスレチック・クラブ)が21年(1888年)に、横浜でインターポート(港別のサッカー対抗戦)に出場したが、その前年、KR&ACが神戸で試合をしていた当時の記事がある。「サッカーを広めたという意味で、神戸は日本サッカーの発祥地。それだけに、神戸でW杯が開催されるのは意義が深い」

現在もサッカー専門誌に記事を連載中。W杯関連のフォーラムにも精力的に出席するなど多忙な毎日だが、日本代表への期待は片時も頭を離れない。

「サッカーはあくまでも『11対11』のスポーツ。日本の特徴である組織力を生かしたサッカーを展開し、日本のサッカーを世界に発信してほしい」


(産経新聞 2002年1月6日)

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