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ウェイン・ルーニー(14)19歳から24歳までチャンピオンズリーグ6シーズンで21ゴール


 マンチェスター・ユナイテッドがバイエルン・ミュンヘンに敗れて、今季のチャンピオンズリーグ制覇の望みは消えた。
 ウェイン・ルーニーはバイエルンとの準々決勝第1レグで開始早々にゴールを決めたあと、試合終了間際に負傷で退場。第2レグにも出場して55分にピッチを去った。彼自身にゴールはなかったが、ピッチにいる間は3−1でリードしていたのに、74分に2点目を奪われてしまった。3−2で勝ちはしたが、第1レグ(1−2)と合わせて得点は4−4、アウェーゴールの差で準決勝進出はバイエルンとなった。
 右サイドのDF、ブラジル人のラファエウの退場処分が響いたのだろうが、チームにも、ルーニーにも辛い敗戦。
 プレミアリーグでもチェルシーに首位を奪われたマンチェスター・Uは、残り試合でルーニーがどれだけ働けるのか。09−10シーズン終盤に入って、難しい状況になるかもしれない。
 さらにルーニーには、6月の南アフリカでのイングランド代表での仕事が待っている。負傷の回復をイングランドのサポーターは祈る思いで待っている。

 09−10シーズンのチャンピオンズリーグを振り返ると、ルーニーはグループBのグループステージでは、負傷で欠場する試合もあって自身の得点はなく、チームは4勝1分け1敗で、この組の首位となり、ノックアウトラウンドの1回戦でミランと戦い、2戦2勝した。これまでのチャンピオンズリーグで勝てなかった相手に対する3−2、4−0の2勝は、2得点ずつ、4ゴールしたルーニーの爆発力とチームの今年の勢いを表すものとみられ、準々決勝のバイエルン戦の突破も期待されたのだが、第1レグでの惜敗とルーニーの故障がベスト4への道を止めることになったといえる。

 ルーニーが欧州のこの大舞台に出るようになったのは、もちろんエバートンからマンチェスター・Uに移った04−05シーズンから。08−09の昨シーズンまでの5年間に47試合に出場し、16ゴールしていて、今シーズンの7試合5得点を加えると54試合21ゴールとなる。
 この連載でもすでにふれたが、19歳で初めて臨んだチャンピオンズリーグという国際舞台のデビュー戦(対フェネルバフチェ=トルコ)でハットトリックをして周囲を驚かせ、ライアン・ギッグスやルート・ファンニステルローイといった先輩たちを喜ばせた。
 彼とマンチェスター・Uがこの舞台で最も輝いたのは07−08シーズン、決勝まで勝ち上がってモスクワでライバルのチェルシーを破ったとき、この年の冬、横浜でのFIFAクラブワールドカップで優勝し、彼自身も大会の得点王となったことは、ガンバ大阪との対戦を含めて私たちの記憶に新しい。このときの模様はすでにお伝えしているが、そのモスクワの決勝に至る07−08シーズンで4得点している。
 その1点目の相手はフランチェスコ・トッティのいるローマ。70分にナニからのスルーパスをペナルティエリアいっぱい、中央右寄りでダイレクトシュートを決めている。この試合は互いに攻め合って惜しいチャンスをどちらも何度か逃したあと、ルーニー自身は右からのボレーシュートや、エリア左角近くからの左ポストを狙ってのシュートがわずかに外れたあとだった。

 スローでこのゴールを見ると、縦パスをダイレクトで蹴るとき、押さえこむように、上、外から叩いているところに、22歳の若いストライカーのシュート感覚の非凡さを感じた(ボールはグラウンダーでファーポストいっぱいに入った)。このシーズンは前号で記したとおり、開幕戦で負傷し、この試合は復帰後4試合目だったという。彼はディナモ・キエフとの2試合で1ゴールずつ決めたのだが、そのアウェーでのチーム3点目となるシュートは、ナニの右からの浮き球のクロスに走り込んで合わせた右足サイドキックのボレーだった。

 07−08シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、モスクワでのチェルシーとの大一番(1−1で引き分け、PK戦で勝利)でのゴールは彼でなく、クリスチアーノ・ロナウドの見事なジャンプヘディングだったが、右サイドでスコールズとブラウンが短いパスをつないだあと、ブラウンが高いクロスを送ったとき、中央にいたルーニーが右へ動き、テベスが逆へ走ってDFの注意を引きつけたのも見事だった。
 堅守で鳴るチェルシーのDFはC.ロナウドにフリーでヘディングさせていた。
 今号はチャンピオンズリーグにこだわりつつ、そのいくつかを例に、走り込んでのシュートというルーニーの得意の形で、いまの日本の試合で見ることの少ないシュートシーンを眺めた。


(週刊サッカーマガジン 2010年5月4日号)

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