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1986年メキシコW杯「日本企業もスポンサー」

 メキシコ大会には競技場に二つずつボードをおけるスポンサーに12社が名乗りをあげた。

 日本からはJVC、SEIKO、FUJI、CANONの4社。他にコカ・コーラやジレット、アンハウザー・ブッシュ、ボタ、GMオペル、フィリップス、R・J・レイノルズなどもあった。

 ジレットは世界に冠たるカミソリで、アメリカやヨーロッパでは飽和状態だが、第3世界への知名度という点でワールドカップに参入したという。カナダのシューズ・メーカー、ボタ社は92か国で販売しているので、さらに知名度をあげようということだった。一社1000万ドル(約17億円)といわれたこうした看板スポンサーは、同時に大会中のオフィシャル・サプライヤーでもある。

 セイコーはゲームの厳正な時間を知らせ、キャノンは公式カメラとして、大会を取材するカメラマンのためのサービスコーナーをおき、フジは当然、フィルムの現像サービスで、プロフェッショナルを通じて浸透していこうとする。JVCは、大会会場やプレスセンターに配置されるテレビ、ビデオを提供し、わたしたちはテレビ室で試合の復習をすることもできた。

 もちろん競技場内で販売できる飲み物はコカ・コーラ。役員にはコーラの制服を着た女性がサービスしてくれる。

 世界企業のFIFAとの契約だけでなく、メキシコでは地域特性でサプライヤーを別に設けていた。たとえばIBM・DE・MEXICO(メキシコIBM)はプレスセンター用の何百ものタイプライター、500台のコンピュータを、自動車のフォードは乗用車とトラックを合計500台といった調子で提供した。

 大会後のFIFAの集計によると、メキシコのワールドカップは総収入154億4600万円、支出72億8915万円、ざっと81億5000万円の収益となり、これを参加国に70パーセント、メキシコ組織委員会に30パーセントが支払われた。メキシコにとっては約24億5000万円が残ったことになる。


(サッカーダイジェスト1991年12月「蹴球その国・人・歩」)

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