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'87コパ・アメリカでの驚き

 コロンビアのサッカーをナマで見たのは、1987年のコパ・アメリカ(南米選手権)のときだった。1917年の第1回から、26回目にあたるこのとき、南米連盟はそれまでの開催方式をガラリと変えて、加盟10か国を1か国(アルゼンチン)に集め、2週間に渡るトーナメント方式で行なうことにした。

 南米の各国代表チームが1度に見られるとあって、私も取材に出かけた。もちろん、86年のW杯で優勝したアルゼンチンとマラドーナが大きな目的でもあったのだが、この大会でチリやコロンビアの上昇を知り、また、エクアドルやボリビアといった未知の国のプレーヤーも見ることができた。

 このときのコロンビア代表は、まことに魅力的、ボールテクニックの上手なのは当然としても、味方ボールになったとき、特にゲームメーカーのバルデラーマがボールに触った時の集散、つまり、彼へ接近してのサポート、彼から離れてのパスを受ける予備動作、それらのタイミングが非常によかった。

 これはナショナル・チームの編成が、メデリン市のナシオナルを主体にデポルティボ・カリ、アメリカ・カリ、ミリョナリオスなどから選んでいたこともあったのかも知れない。
したがって、合同練習の期間の少なかったアルゼンチンやブラジルなどに比べて、チームワーク、特に攻めのときのキレのよいスルーパス、あるいはラストパスが目立った。

 彼らは、まず1次リーグC組でボリビアを2−0で撃破した。この試合の3日前にパラグアイがボリビアと引き分けていた。パラグアイは、86年のW杯メキシコ大会に出場した経験豊かなプレーヤーをそろえていたが、狭いスペースの突破とロブ攻撃、それも一本調子(同じロブ攻撃でも、タイミングの緩急やボールの長短といった変化があれば効果もあるのだが)だったため、ボリビアの守りにはね返されていた。

 そのパラグアイとの試合で、コロンビアは積極的に中盤でボールを奪いに行き、ボールを奪うと速いパス攻撃でパラグアイの守りを崩して3−0で勝った。

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