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各クラブは少年育成を……

 コロンビアのサッカー人やサポーターにとって、W杯開催権の返上はとても残念だったろうが、開催をめざす努力の1つに、少年育成があった。プロフェッショナルのクラブがユースを育てよう―――南米各国、ことにアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルのように、トップ・クラブで将来のプロフェッショナルを育成するシステムは、すでに軌道に乗っていた。コロンビアも、これらの先進国に倣い、W杯開催を機に育成システムをスタートさせたのだった。

 もともと大衆に根を下し、カリブの海岸でもアンデスの高地でも、子供たちはボールと遊ぶ。そして、スポーツの資質として、多様な人種は多様な素材を持つ。柔らかくボールを扱う者、鋭くダッシュする者、強さ、しなやかさ、タフさ、堅固さ……あらゆる才能を生む可能性を持った土地では、いい芽には水を与えれば成長は早い。

 85年以降の代表チームやクラブチームの国際舞台での輝きは“W杯開催返上”という苦い経験がもたらしたうれしい成果といえる。

 88年、南米ユース大会でのコロンビアの優勝は、この国がいよいよ若いタレントを生み出す力を持った証といえた。

 かつて、コロンビア代表チームのコーチを務めたことのあるカルロス・ピラルド監督、あのマラドーナとともに、アルゼンチンを世界一に導いた彼は、コロンビアの上昇についてこう語っている。
「コロンビアは87年のコパ・アメリカで注目されたが、もともといい素材がそろっているところだ。これまでは、素材のいい者を見つけ出すのが難しかったが、徐々にそうした面も整ってきた。ウルグアイやパラグアイもいいプレーヤーを輩出する国だが、コロンビアはこれらの国と比べると、2800万というはるかに多い人口を持っているのだから、今後ますます、この国からサッカー・タレントが生まれて来ると思う」 

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