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技巧はやはり世界一

 多人種国ブラジルのサッカーは、さまざまなタイプのプレーヤーが生まれ、それが組み合わされるところに魅力があり、強さでもある。
 ところがある時期から、ブラジルにもフィジカル重視の傾向が出た。現代サッカーでは体力を抜きに戦術は考えられないが、それにしても、あまり若いうちから体力面を強調すると、独特のスピードや柔らかさ、判断力といった面を殺してしまうこともある。
 ブラジルが、ブラジルらしい選手で代表チームを編成していないといったヨーロッパの解説者の指摘もあった。
 1992年のトヨタカップで来日したサンパウロを見て、トップ・チームに再びブラジルらしいプレーが戻ってきたことを知った。
 そして今度は、ブラジルでも珍しいタイプのベベートがスペインで自信をつけ、代表チームでもレギュラーとして定着したことを知った。
 こうした異能のプレーヤーを受け入れるところにチームの幅があることを考えると、パレイラ監督のブラジルは、米国ワールドカップでいいチームを作るのではないかーと密かに思う。
 英国の記者の中にも、アルゼンチンとの試合で、戦術的に優れたアルゼンチンに対し、ブラジルは個人の力では上であること、ブラジル選手の技巧はやはり世界のトップであることを示した、と見ている者もいる。
 相手のタックルに、かつてのペレのようにボールを浮かせてかわすようになっているし、何人かのドリブルは、明らかにアルゼンチンの選手に対して効果があったという。

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