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危険なスタジアム

 スタジアムでの事故で、一番古いものは、スコットランドのグラスゴー。前述のセルチックでなく、レインジャーズのホームであるイブロックス・パークの競技場で、1902年4月5日、スコットランド対イングランドの試合の際に、西側スタンドが倒壊して25人の観客が死亡し、517人が負傷した記録がある。

 イングランドでは、1946年3月9日、FAカップのボルトン・ワンダラーズと、ストークシティの試合で、ボルトンのバーデンパークの壁が倒れたために大混乱となり、死者33人、負傷者は400人以上となった。さらには、ブリュッセルの騒動と同じ年の同じ月、1985年5月11日、ブラッドフォードでのブラッドフォード対リンコルンの試合で、メインスタンド後方から火の手があがって、あっという間に燃え広がり、満員の観衆は大混乱となって、死者53人、200人の負傷者を出した。
 3部で優勝した地元チームの2部昇格を祝って、満員となっていた上に、無料入場者を閉め出したために、出口が閉じたままになっていたのが惨事を大きくした。火事の原因は、祝賀用花火への引火か、あるいはタバコの火だったのか。 どちらも、スタジアムが満員であったことが事故をより大きくしたのだろうが、満員あるいは超満員ということから、わたしは、1923年のあるエピソードを思い起こす(「ウェンブリーの大混雑」へ)。


(サッカーダイジェスト 1989年「蹴球その国・人・歩」)

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