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韓国・スペイン準々決勝の激闘 ホアキンの突破とラウルの不在

バラハのシュートから活発に

 スペインは勝てると思っただろうナー、前半のビデオを見終わって感じたものだ。
 02年6月23日、私は芦屋の自宅で、前日に行なわれたワールドカップ準々決勝、韓国対スペインのビデオを見ていた。当日、この試合が行なわれた時間に、私は大阪ドームでの催しに出席していて、韓国・光州からの実況中継を見ていなかった。
 キックオフして、しばらくは両チームとも緊張からかパスミスが多かった。また互いの激しいつぶし合いで、効果的なパンチは出せなかったが、18分のバラハのシュートあたりから、スペインのボールのつなぎが目立って良くなった。
 バラハのシュートは、右サイドからのプジョルのスローインを中央で受け、オーバーヘッドキックで蹴ったもの。右ポストの外へ外れたが、意表を突かれた韓国はヒヤリとしたはずだ。
 その右サイドの攻めで目立つのは右サイドのホアキン。すでに第1ラウンドの試合に出ていたようだが、初めて見る私には、このサイドアタッカーのドリブルは驚きだった。接近する相手が二人のときはその間を抜け、一人で手薄と見れば縦に走る。
 22分に彼が李栄杓をかわして中ヘドリブルしたときは朴智星がトリッピンクで倒し、ペナルティー・エリア前でのFKとなる。23分、24分にも、彼を止めるために李栄杓が反則、FKを与えた。
 豊富な活動量を生かしての数的優位(2〜3人での囲い込み)と、粘り強い接触プレーでスペインの攻撃に対応する韓国だが、ホアキン、プジョルの相手右サイドの制御が難しくなると、それが全域に影響し、ピンチも出始める。


韓国GK李雲在の始末

 27分にスペインは右サイドのFKからモリエンテスがゴール正面でヘディングした。ボールは右上隅近くへ飛んだ。GK李雲在がゴールポストに体をぶつけても落とさない見事なジャンプ・キャッチで防いだ。30分の右CKは長身のイエロがヘディングしたが、バーを越えた。
 42分にホアキンがドリブルからクロスを送った。ボールはスピードがあり、GK李雲在の手をかすめた。エルゲラが飛び込んだが、足に当たらなかった。
 もし、ラウルがいたらおそらく、ファーサイドヘ入ってきて、得意の左足が生きる高さだっただろう。
 デペドロのシュートが2本。一本は李雲在が防ぎ、一本は左へ流れた。そしてまた右CKからイエロのヘデインクがわずかにバーを越えた。
 韓国の劣勢ながら0−0で前半は終わった。ハーフタイムにコーヒーを飲むことにした。結果が分かっているだけに、安心して後半以降を楽しめるのだった。


(週刊サッカーマガジン2003年12月16日号)

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