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準々決勝、盛り返す韓国にホアキンの脅威

 新年おめでとう、私には80歳の大台に乗る年です。今年もいいサッカーが見られ、楽しい語らいができますように――。


後半はじめも韓国のピンチ

 2002年ワールドカップを振り返る“旅”は前号で準々決勝、韓国対スペインまで進んでいます。今回は後半始めにホアキンが倒された場面の続きからです。
 スペインの右サイドの大きな武器であるホアキンは、この日の韓国側にとって厄介な相手だった。そのドリブルを止めるのに前半3度、後半3度のファウルをしなければならなかった。5度目となるこの49分のFKは、赤一色でスタンドを埋めた韓国サポーターを凍りつかせたに違いない。
 デペドロが右タッチライン近く25メートルあたりから送った左足のFKが、競り合いのヘディングで、ゴール左に飛び込んだのだった。レフェリーの笛が鳴り、スペイン側の反則ありと――、スローを見るとどうやらエルゲラが、自分の前の金泰映を手で押したらしい。
 その1分後、ホアキンはゴールラインぎりぎりまで進入してモリエンテスにパスを送り、韓国側をまたひやりとさせる。これは攻めこんだあと、韓国のクリアを右サイドで拾ったバレロンが右タッチラインぎわでキープしたとき、前方から戻ってきたホアキンが、内側でパスを受け、大きいトラッピンクで一気ににペナルティー・エリア右外を突破し、ゴールラインからパスしたもの。洪明甫に体を寄せられたモリエンテスの右サイドキックのシュートがポストの外へはずれた。


朴智星のトラップとシュート

 韓国は朴智星の右サイドの突破からCKが生まれ、李乙容のシュート。右にはずれはしたが、会場全体を勇気づける。相手ボールに対して、常に2人から3人と数的優位で奪いにゆくその韓国の運動量は、次第にゲームの流れを自分の方に引き寄せる。
 67分の攻撃は、最後の朴智星のシュートをGKカシジャスに防がれたが、右からのクロスを胸で止め、ボレーで蹴る彼のトラッピングからシュートヘの動きの中には、彼の落ち着きが見られてうれしい。朴智星は27分にもイエロのミスを拾って、あわやシュートにという場面もつくっている。
 そうした韓国へ傾きかけた流れのなかで、ホアキンが突出した存在となる。59分のドリブルシュートはGK李雲在が好守で防ぎ、73分、自らのドリブルから味方に当ててリターンを蹴った右のシュートは、わずかに右にはずれた。
 ウイングプレーに愛着のある私には、背番号22のプレーは格別だった。この試合の運命を掘るのは、彼――とまでは思わなかったが……。


(週刊サッカーマガジン2004年1月20日号)

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