賀川サッカーライブラリー Home > Stories > >準々決勝、韓国・スペイン 延長前半、ホアキン絶妙のクロスは…

準々決勝、韓国・スペイン 延長前半、ホアキン絶妙のクロスは…

ワールドカップKOREA JAPAN

 年末に左の眼が充血し、少し痛みも伴ったので、年賀状は天皇杯決勝のための東京行きの後でと孝えたところ、帰宅後またひどくなって眼科ドクターのお世話になる始末。おかげで賀状は大遅刻――。
 ホームページでも、新春用の書きものが七草がゆを過ぎてもいまだという冴えない2004年のスタートとなりました。
 もっともサッカー界は天皇杯も高校選手権も、とても面白く、ことしも賑やかで楽しい幕開けでした。
 その早々の話題を――とゆきたいところですが、今回は表題の「ワールドカップKOREA JAPAN」の旅を続けましょう。
 前回(1月20日号、連載55)の韓国・スペイン戦からの右サイドの選手、ホアキン物語です。


延長のゴールデンゴールは・・・

 90分の戦いは0−0、15分ハーフ(ゴールデンゴール方式)の延長に入った。両チームともに延長は経験済み、韓国はイタリアを安貞桓のヘデインク・ゴールで破り、スペインは延長後のPK戦でアイルランドを降している。
 延長前半、赤一色のスタンドは一瞬ヒヤリとしたに違いない。ホアキンが右からエリア内に侵入し、ハイクロスを挙げたのを、モリエンテスがヘデインクでゴ−ルネットヘたたき込んだのだった。
 しかし、レフェリーの笛は、ゴールインではなくゴールキック。ホアキンがクロスを蹴る前にボールがラインの外へ出たという副審の旗を認めたらしい。スロービデオの画面でも、外のようには見えなかったが…。
 バラハの左からのライナーのクロスを韓国DFが頭に当ててクリアしたのを拾ったホアキンが、右サイドを突破し、深く食い込んでフワリとクロスを送るドリブルは、高速で相手を抜き去りながら、柔らかいボールを蹴るという、見事なウイングプレーだった。高速の突破に続いて、フワリと浮き上がってくるボールは対応するディフェンダーにとっても、反応しにくいもの。その急と緩の組み合わせとポールのコースの良さで、誰の妨害をも受けずにジャンプ・ヘディングできたのだった。その5分後、モリエンテスは右寄りからのダイレクト・シュートを放った。左ポストに当たってはねかえったが、これもホアキンの右サイドからのスローインを受けたものだった。
 この日のゴールラインとポストはホアキンと相性が悪かったのかもしれない。私たちは、そのことを延長終了間際にも知ることになる。


(週刊サッカーマガジン2004年1月27日号)

↑ このページの先頭に戻る