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関西でのサッカー人気 2月シリーズと平山相太

テレビ観戦の楽しみ

 代表の辛勝(2月18日)のあと∪−23は快勝(2月21日)だった。代表の相手オマーンは周到な準備をし、U−23の韓国は準備不足という違いはあっても、2−0の見事な勝ちっぷりにオリンピック代表の人気が一気に高くなった。
 私のところへさまぎまな声が届いた。しばらくご無沙汰をしていたご婦人から「若い方(U−23)の試合は勢いがあっていい」との電話には驚いた。サッカーにはそれほど熱心はなかったのだが、この2月の日本代表と、∪−23日本代表の集中的なテレビ放映で、すっかり魅きこまれてしまったらしい。「亡くなった母は相撲を見るのが唯一の楽しみだったが、私は相撲、野球、サッカーと3つも楽しみがある」と喜んでいた。
 2月の代表シリーズは6試合のうち5試合がナイター、寒い中をスタジアムに足を運ぶサポーターにもいい条件ではなく、取材記者の間でも評判は必ずしも良くなかったが、それだけに、立て続けのゴールデンアワーの実況放送は値打ちがあったと言える。
 26日付の朝日新開(大阪本社版)の「先週のTV視聴率ランキング(2月16−22日)」によると読売テレビの日本・オマーン戦は23・1%で4位、NHKの大河ドラマ「新選組21・9%)」より良かった。U−23の日韓戦(15時キックオフ)で長居には3万8601人が集まった。Jリーグの関西勢不振で、サッカーの盛り上がりの少ない地域でのこの2つの数字は“快挙”でもあった。


これからの平山相太

 いい話ばかりの中で、平山相太の登場は最も明るいものだろう。ストライカー・釜太邦茂を長く見ていた私は、若かったころの彼と平山のいまと比べ合わせて、共通点を見出して、ほくそえむのだが、何といっても、彼にはこれからの4、5年が最も重要な時期なのだ。
 日本のストライカーの系譜の中に、本来は釜本の前に入るべき逸材がいた。彼は高校選手権2年連続優勝チームのセンターフォワードで、押さえの利いたシュートとドリブル突破は、同世代で群を抜いていた。高校生でメルボルン五輪の代表合宿に入り、紅白戦では八重樫茂生や長沼健、小林忠生たちよりも多くゴールを奪っていた。
 結局はメルボルン代表には入らず、大学でも伸びずに終わったこの素晴らしい素材を、いまも愛情をもって思い出す。
 平山の周囲の人たちが長い目で彼を見守ることを願っている。


(週刊サッカーマガジン2004年3月16日号)

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