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バラックのゴールで ドイツが決勝へ
圧巻!! 190センチの壁
後半始めも、ドイツのサイドからの攻めが目立った。15分までに4本のシュートが韓国ゴールに迫る。韓国は54分に黄善洪に代えて安貞桓を投入する。
70分にドイツはクローゼに代わってビアホフが登場する。ヘディングの強いクローゼだが韓国のDFの粘っこい対応にシュートを決められない。ならばクローゼより9センチも高いビアホフでどうだ――というところだろう。
やや攻めあぐねた形のドイツに対して韓国は“恐るペき体力”を発揮し始め、高速のカウンターが目立つようになる。その一つ、自陣から李天秀がドリブルで二人をかわして相手ペナルティー・エリアに入ろうとした。背後からバラックがタックルした。イエローカードが出され、これでバラックの決勝出場は消えてしまう。そのバラックは、すぐさま壁に入る。キッカーから見て右からフリンクス(182センチ)、ビアホフ(191)、バラック(189)、ハマン(189)、メッツェルダー(193)、ボーデ(189)と並んだ壁の高いこと。李のFKはジャンプしたメッツェルダーの頭に当たりCKとなる。
このFKに続く左CKを韓国は低いボールで攻め、リバウンドを拾って右に回し、宋鐘国がロングシュートした。
右足でたたいたボールはスライス気味でドライブがかかるという曲球だったが、カーンは体の正面でしっかり捕球した。
ミスパスが致命的に
ピンチのあとにチャンスなのか、チャンスのあとにピンチなのか――。ドイツにビッグ・チャンスがやってきた。
ハーフウェー・ラインを少しドイツ側へ入ったところやや左寄り地点から、左前方へ送った金泰映のパスが、まともにシュナイダーに渡ってしまう。
1)シュナイダーは短くドリブルして
2)受けたヌビーユはドリブルでエリア右外まで持ち込み斜め後方へのグラウンダーのクロスを送った。
3)中央にいたビアホフが戻りながら取ろうとしたとき
4)後方から走り込んできたバラックが右足インサイドでダイレクトにたたく。
5)ボールはGK李雲在がいったんセーブしたが、彼の足に当たったリバウンドを再びバラックが左足でゴールに蹴り込んだ。
バラックの後方からの疾走と、その長いランのあとのシュートを止められながら、バランスを崩すことなくリバウンドに反応した彼の体の強さに驚くのだが、ヌビーユが2)の場面でドリブルのコースとスピードを変化させ、これがバラックの走り上がる間を作ることになったのも、素晴らしい。
リードされてからの韓国の頑張りも素晴らしかったが、カーンと彼の仲間の守備は最後まで崩れなかった。
(週刊サッカーマガジン2004年4月13日号)