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経済書にも登場した本当のジェントルマン 〜ボビー・チャールトン〜

 書店で立ち読みした本のなかに、こんな一節があった。
「世界中で知られている英国人といえば、20年前ならボビー・カルトンだろう。いまならサッチャー首相…」。
 英国で、日産自動車がなぜ成功したかについて、イギリス人の目でとらえたもので、内容もなかなかおもしろそうだったが、わたしには、経済の新刊書の棚のなかから、ボビー・チャールトンという懐かしい名(どいういうわけか、翻訳本にはボビー・カルトンとなっていたが、前後の関係から、すぐにチャールトンと察した)を見出したのがうれしかった。

 疑いもなく、ボビー・チャールトンは20年前、世界で最も知られた英国人の一人だった。1966年のワールドカップで、開催国イングランドが初優勝したときの立役者であっただけでなく、1968年、マンチェスター・ユナイテッドのキー・プレーヤーとして、初めて欧州チャンピオンズ・カップを制した。
“本当のジェントルマン”と、相手側からも尊敬されたチャールトンを軸に、ジョージ・ベスト、デニス・ロー、ノビー・スタイルズなどがいたこの頃のマンチェスター・ユナイテッドは、まさに、イングランド・サッカーの黄金期の象徴で、当時の日本のファンにもはるかな憧れだった。


(サッカーダイジェスト 1989年「蹴球その国・人・歩」)

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