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期待膨らむカナリアの攻め込み

日本代表対スウェーデン代表

 アテネでの女子サッカー予選第1戦は素晴らしい勝利だった。立派な体格で、個人の突破カあるスウェーデンを相手に、組織的なプレーで対抗して1−0の勝利をもぎ取った。彼女たちの試合ぶりは、豊富な運動量とレベルアップした技術の裏付けがあり、ボールの奪い合いの局面で見せる彼女たちの“負けん気”の強さが基盤になっていた。それはまた、1936年にベルリンで彼女たちの祖父の世代がスウェーデンを破った日本サッカーの特色そのままでもあった。
 上田監督と彼女たちイレブンの頑張りで、女子サッカーヘの関心が高まり、愛好者が増えてくれれば――と想像することは、神戸FCの創立時から女子サッカーに関わりを持ってきた者として、まことにありがたいと思う。
 それにしても、技術の幅は多くなくても、必要なポジションプレーを的確にやってのける“なでしこジャパン”。たとえば右サイドからのクロスが正確にゴールマウスに届くのを見ると、男子のトップリーグの選手がノーマークで蹴るクロスが一番近いDFに簡単に跳ね返されるのはなぜなのか、と思ってしまうほどだ。プロ化でプレーが均質化されつつある男子に比べて、女子はそれぞれのお国ぶりもあり、また、男子ほど動きが早くないだけ、サッカーの通にもそうでない人にも、全体の動きや個々のプレーが見やすく、戦術や技術が分かりやすい。
 女子サッカーはこの夏、テレビの新しい人気番組になっても不思議ではない。


ワールドカップ決勝3回出場のカフー

 さて、オリンピックでなく、「2002年ワールドカップの旅」は決勝のブラジル対ドイツを迎えている。6月30日、私は試合直前、横浜国際総合競技壌の記者席にいた。すでに、両チームはセレモ二−のために整列していた。メーンスタンドから見て、左にドイツ、右にブラジル。その間にいる4人の審判の中に特徴のあるコッリーナさんの姿も見えた。
 ドイツ代表は左端からイエレミース、シュナイダー、ハマン、ノイビル、クローゼ、ボーデ、リンケ、ラメロウ、メッツェルダー、フリングス、そしてキャプテンマークを着けたGKカーン。バラックの姿はない。出場停止で晴れの舞台には立てないのだ。
 ブラジル代表は左端がキャプテンのカフー。1994年以来、決勝には3回連続出壕となる。その右がリバウド、GKマルコス、ジウベルト・シウバ、クレベルソン、ジュニオール、エジミウソン、ロベルト・カルロス、ルッシオと続き、ロナウジーニョとロナウドが右翼に並んでいた。
 試合はブラジルのキックオフで始まり、カナリア軍団の攻め込みからスタジアム全体、いや世界中で好ゲームの期待が膨らんだ。

(週刊サッカーマガジン2004年8月31日)

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