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ブラジル対ドイツの決勝は開始早々から攻撃の応酬に

クレベルソンの驚き

 ロナウジー二ョが左サイドのタッチライン沿いでドリブルを仕掛けた。ドイツの2選手が対応したが、最後はリンケがゴールライン外へ蹴りだして難を逃れた。その左CKをロナウジーニョが任されると、特有の高く上がったボールをファーサイドで両チームが競り合った。だが、どちらもキープできずに結局、ゴールキックとなった。2002年ワールドカップ決勝、ブラジル対ドイツでまずスタンドの注目を集めたのは1分、ロナウジー二ョのドリブルと左CKだった。そのすぐ後、再びドイツのゴール前を今度は右サイドからのクロスが襲う。スローインからクレベルソンがイエレミースをかわしてドリブルし、中央へ送ったもので、GKカーンがキャッチした。クレベルソンがイエレミースの体に軽く当てておいて、そのリアクションでターンしボールをキープしたプレーには思わずうなった。
 95年のアンプロカップのころから活躍したジュニーニョ・パウリスタを押しのけて、大会後半からレギュラーになったのだから、これぐらいは当然かな…。
 3分にはドイツの左サイドからのクロスがブラジルのゴール前を通過し、スローインに。それをゴールラインいっぱいで受けたシュナイダーが一人を引き付けてバックパス。これをボーデがそのま左足で蹴る。ボールはブラジルの二人のDFをかすめたが最後はロベルト・カルロスがクリアした。


ロナウド、リバウドのパスショー

 4分にそれまで沈黙していたロナウドが左寄りでボールを受け、左斜めヘドリブルを開始。リバウドヘ渡し、左タッチライン際のロベカルに経由。ロベカルがその後方のホッキ・ジュニオールをクッションにパス交換した。さらに、リバウドがゆっくりしたキープから再びパスを受けるとき、ロナウドが一瞬でスピードアップすると、スタンドは息をのんだが、リンケが長い足でスライディングしてボールを奪った。3Rのうちロナウジーニョを先端に置いて行なわれたロナウド、ロナウジーニョのパスショーはここでストップ。そのボールをノイビルが奪って前方へ出ようとしたとき、ホッキ・ジユニオールと激突し、イエローカードが提示される。自信満々の攻撃が破綻したときに見せたファウルは、褒められるべきではないが、その展開を読む感覚はやはりトップのプロ選手のそれである。
 このFKを縦に送ったドイツは再びFKを獲得。そこからシュートを2発、長身選手へのロビングではなく、FKから短いパスをつないでのシュートだった。壁に防がれたが、FKを武器とするドイツの工夫があった。
 決して上手ではないが、ドイツにはファイナルの舞台に出てくる“格”があった。きょうの決勝は面白くなる。そう予感させたのも、この時だった。

(週刊サッカーマガジン2004年9月14日号)

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