賀川サッカーライブラリー Home > Stories > >ドイツの健闘に拍手し、ロナウドとカーンの攻防に沸く前半戦

ドイツの健闘に拍手し、ロナウドとカーンの攻防に沸く前半戦

反転シュートへの早さ

 ブラジルの右CKをリバウドが蹴り、ドイツがヘディングで跳ね返した。右サイドで拾ったカフーが左へ大きく展開してロナウジーニョヘ。そして、ロナウジーニョはヘディングで後方のロベルト・カルロスヘつなぐ。
 28分、左タッチ際となればロベカルのお家芸、右足で高いバウンドを抑え、強い左足シュートはゴール正面へ飛んだ。
 そこにロナウドがいた。彼の左足に当たって弾んだボールはマーカーのリンケに直撃、ロナウドの左側へこぽれた。そのボールが地面に落ちない間に、ロナウドはターンし、左足でたたいた(もちろん、記者席からではボールを受けたロナウドが反転してシュートしたように見えただけで、あとからビデオで確認してその経過が分かった)。
 強烈なシュートだったが、カーンが足に当ててはじき返した。ボールがゴール圏外へ大きく外れたところで、コッリーナ主審が笛を吹いた。前半終了近くになると、ブラジルのチャンスが多くなったが、それまでは互角だった。
 ドイツの攻撃は律儀なまでに、両サイドからのクロスが多かった。その中には、高いボールやぬれて滑りやすい芝を利したグラウンダーのものもあった。


律儀なドイツとロナウジーニョの即興

 シュナイダーとノイビルのドリブルが利いていた。スピードに乗り、突破と見せての深い切り返しは、シンプルだが容易には取られない強さがあった。
 DFの選手がときに積極的に上がるのも効果があった。かつての強かったころのドイツ代表を知るものにとって、今回のチームは技術的にはまだまだだと思っていたのだが、ここまでブラジル相手に戦えるとは予想外だった。
 ただし、ドイツにとってはこういう左・右からの攻めに2列目から走り込むバラックが出場停止で出られないのはやはり響いていた。テクニックもあり、しかも鉈(なた)のような重さで押し切る彼の強さがこの場で見られないのが惜しかった。一方で、ブラジルには技巧の代表格で即興の名手ロナウジーニョが復帰していて、その切れ味を見せた。19分と30分にロナウドがディフェンスラインの裏へ入ったのは、ともにロナウジーニョからのパス。前者はドリブルで突っかけながら相手DFの左ヘパスを流し込み、後者はディフェンスラインの手前でボールを浮かし、その背後ヘポトリと落とした。ロナウドは一本は左足シュートで左へ外し、一方は右足をいっぱいに伸ばしたが、タッチが弱くてGK力ーンに捕球された。

(週刊サッカーマガジン2004年9月21日号)

↑ このページの先頭に戻る