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ロナウドの2ゴールで5度目の優勝へ

ドイツ攻勢後にブラジル先制

 63分のドイツのシュナイダー、ヌビーユの惜しいチャンスのあとドイツの中盤左サイドでイエレミースがカフーとぶつかって転倒し、場外へ運び出された。そのFKが右へ送られ、今度はクローゼに対するファウルでドイツが右サイドのFKを獲得。そのとき、イエレミースがピッチに戻ってドイツ・サポーターからの拍手を浴びる。このFKはブラジルが防ぎ、ボールはタッチラインの外に出た。
 ブラジルにとって、この右サイド20メートルのスローインからの攻めがロナウドのゴールにつながった。
 ボールはまず右タッチライン沿いで縦に動き、
1)ロブのボールをロナウジーニョがジャンプヘッドで内のジウベルト・シウバに渡す
2)シウバは左斜め前ヘドリブルして、左に開いたロナウドヘパス
3)中央左寄りゴールラインから40メートルでロナウドはこのポールを受け
4)エリア中央へ向かってドリブル
5)エリア手前10メートルあたりでボールを奪われる
6)奪ったドイツは前方ヘパス
7)ハマンが受けたが処理にもたつく
8)その間にロナウドが奪い返し
9)相手DFを前にリバウドにパス、自分は右へ走る
10)リバウドはロナウドヘパスを出す気配を見せつつ、エリア外3メートルから左足でシュートした
11)このボールに対してカーンは素早く反応しながらファンブルし
12)猛スピードで走り寄ったロナウドがゴール右下に蹴り込んだ。


カーンのミスとロナウドのタックル

 記者席のテレビ画面のスローを見ると、リバウドの左足で蹴られたボールは低い弾道からカーブを描きつつ落下し、捕球動作に入ったカーンの左腕に当たってリバウンドし前方へ転がってしまった。
 カーンがキャッチミスをするとは――。大きな驚きではあったが、ドイツがロナウドからボールを奪ったとき、大事につなごうとエリア内からすぐ外への短いパスをハマンに送り、ハマンが処理に手間取ったこととそのボールをロナウドが奪い返したところにポイントがあったと私は思っている。
 巻き返しを図るドイツは、クローゼに代えてビアホフを投入。ついで負傷のイエレミースをアサモアに代える。ブラジルの攻撃は冴え、79分にクレベルソンの右からのクロスをロナウドが決めた。右サイドのカフーとクレベルソンの交差する動きにドイツは選手の数を割かざるを得ず、クレベルソンのパスをリバウドがノータッチで流してロナウドが受けたときはノーマーク、アサモアのカバーも遅れた。
 ゴール正面からフリーで放ったロナウドの右足シュートは“神通力”を失ったカーンの手の届かないところを通っていった。2002年6月30日、午後9時45分。5度目となるブラジルのワールドカップ優勝が近付いていた。

(週刊サッカーマガジン2004年10月5日号)

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