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リバプールFCの応援歌

 リバプール市とその周辺には、リバプール、エバートン、トランメエア(4部)チェスター(3部)ボルトン(3部)などのクラブがあり、同市と35キロの近くにあるマンチェスターには、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ。周辺にはストックボート(4部)オールダム(2部)ロッチデール(4部)バリー(3部)などのクラブがあって、サッカーのひとつの中心勢力をつくってきた。
 大都市リバプールのなかでの2つの伝統あるチーム、リバプールとエバートン、マンチェスターの中でのユナイテッドとシティは、それぞれに対抗意識を燃やしながら発展してきた。

 1989年4月15日、リバプールのファンがスタンドで圧死したFAカップ準決勝の悲しい出来事のあと、決勝はリバプールのチーム同士が戦ったが、ロンドンのウェンブリーでのスタジアムは、両チームのサポーター、つまりリバプール市民によって占領された。
 彼らは、試合開始直前のセレモニーのときに、国歌ではなく、リバプールFCの応援歌「ユー・ウィル・ネバー・ウォーク・アローン」を歌ったという。リバプールのサポーターの鎮魂のために、エバートンのファンもまた、相手サポーターとともに歌ったのだった。

 イングランドのクラブは、大衆にサッカーというスポーツ・エンターテイメントを提供し、若者から老人に楽しみを贈る企業として、100年の歴史を積み重ねてきた。しかも、それは現在の西ドイツやフランス、あるいは東欧諸国のように、市や州や国のバックアップがほとんどないままに、民間人の手で運営し、大衆に根をおろしてきた。


(サッカーダイジェスト 1989年「蹴球その国・人・歩」)

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